回想録Ⅰ。御主人様と私<出会いの章>
御無沙汰していました。今、何をここで書くべきか何だか迷ってしまいまして、ついつい留守にする日が続いておりました。
そんな折、以前「ラヴトピア」というサイトを作った時に書いたテキストが偶然見つかりました。拙い文章ではありますが再録しておこうと思います。内容は多くの女装経験者、トランスジェンダーが通ってきた道と重なるかもしれません・・・ご自身の体験と重ね合わせてみてもいいかもしれません。10年前の写真をなつかしく眺めながら…
☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓
御主人様と私 <出会いの章>
その当時、付き合っている女性がいました。
結局は喧嘩別れ。理由は彼女の浮気でした。
ある晩、今までデートをしていた時間がポッカリと空いてしまった事もあって、暇をもてあましピンク映画館に寄ってみたのです。
なんと、その暗闇の中に女性の姿が見えました。
なんでこんな所にと思い目を凝らしてみると、女装者である事がわかりました。
彼女は激しく感じていました。 その周りは老若数人の男たちが人だかりになっていて、彼女の身体を撫で回していました。
そして、濡れた唇からは切なく言葉にならない声。
「なんて、気持ち良さそうに喘ぐんだろう」
そう思って近付くと、彼女に手を引かれ、抱きすくめられ唇を吸われて気が遠くなってしまいました。
濃厚な化粧の匂い・・・甘くて蕩けるような舌・・・
場末の映画館の泥のような欲望の中で咲く彼女は蓮の花のようでした。
抱き合い身体を弄り合う内に、まわりの男たちの手が自分の身体にも伸びてきて・・・
こんな世界があるのかとひどく興奮してしまい、自分の中の何かが壊れていくのがわかりました。
同性愛は初めてではありませんでした。高校生の頃は電車で痴漢に会うなんてこともあったし、よく声をかけられもしていたので、何度かは興味本位で経験してはいたのです。
泥のような快楽の中で思ったことは一つでした。
「ああ・・・僕はこの人みたいに、女の子になって男の人に抱かれたかったんだ。」
その時、初めて 女としての自分を はっきりと意識したのです。
こうしてハッテン場に出入りするようになり、その後処女を喪失しました。
しかし、半年が過ぎるも未だ女装をするまでには至っていませんでした。
幸運な事にその場限りの男性と出会い続ける内に、自分にとって最高のパートナーに出会いました。
激しく奥まで挿入されながら、やさしく甘い愛撫。時折与えられる疼くような痛みと激しいヒップへのスパンキング。
そんな、天使のような繊細さと、獣のような激しさにすっかり参ってしまいました。
暗闇の中に、猫科の猛獣のようなしなやかな彼の身体が見えました。
帰りに携帯の番号を渡され、しばらくして連絡をとって彼と会うことにしました。
彼に自分は「女として抱かれたい」という事を素直に告白すると、「いいよ」と許してくれました。
初めて化粧をし、女性の衣服を身に付け、女として抱かれる至福の時間。
心の底から女になって抱かれる毎に、言葉遣いも仕草も変わっていく自分。
女でいることを許され抱かれ続ける内に、彼がとても大切な人になっていきました。
「御主人様ぁッ」
抱かれ続ける内に自然と口からそういう言葉が出ていました。
それは、Master と Slave という特別な愛の形に気付いた瞬間でした。
「お前はスケベでいやらしい牝犬だね」
ご主人様はそう優しく囁きました。
☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓
【佐緒里の回想】
この頃の私は異性に対して心の中にファンタジーめいたものをまだ持っていたように思います。女性が嫌いという訳ではなく、憧れの対象ような部分が勝っていて、どうしても相手が普通に求めるような男性の強さを持てずにいました。私の内面が女性的であったためだと今ではわかるのですが、その当時は何故か懸命に男性的であろうとしたり、無知であるがゆえに相手をも傷つけていたのかもしれません。男だから・・・女だからという性差から少しでも解放されたい。女性と別れてからはそんな思いが大きくなっていったような気がします。
そんな折、以前「ラヴトピア」というサイトを作った時に書いたテキストが偶然見つかりました。拙い文章ではありますが再録しておこうと思います。内容は多くの女装経験者、トランスジェンダーが通ってきた道と重なるかもしれません・・・ご自身の体験と重ね合わせてみてもいいかもしれません。10年前の写真をなつかしく眺めながら…
☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓
御主人様と私 <出会いの章>
その当時、付き合っている女性がいました。
結局は喧嘩別れ。理由は彼女の浮気でした。
ある晩、今までデートをしていた時間がポッカリと空いてしまった事もあって、暇をもてあましピンク映画館に寄ってみたのです。
なんと、その暗闇の中に女性の姿が見えました。
なんでこんな所にと思い目を凝らしてみると、女装者である事がわかりました。
彼女は激しく感じていました。 その周りは老若数人の男たちが人だかりになっていて、彼女の身体を撫で回していました。
そして、濡れた唇からは切なく言葉にならない声。
「なんて、気持ち良さそうに喘ぐんだろう」
そう思って近付くと、彼女に手を引かれ、抱きすくめられ唇を吸われて気が遠くなってしまいました。
濃厚な化粧の匂い・・・甘くて蕩けるような舌・・・
場末の映画館の泥のような欲望の中で咲く彼女は蓮の花のようでした。
抱き合い身体を弄り合う内に、まわりの男たちの手が自分の身体にも伸びてきて・・・
こんな世界があるのかとひどく興奮してしまい、自分の中の何かが壊れていくのがわかりました。
同性愛は初めてではありませんでした。高校生の頃は電車で痴漢に会うなんてこともあったし、よく声をかけられもしていたので、何度かは興味本位で経験してはいたのです。
泥のような快楽の中で思ったことは一つでした。
「ああ・・・僕はこの人みたいに、女の子になって男の人に抱かれたかったんだ。」
その時、初めて 女としての自分を はっきりと意識したのです。
こうしてハッテン場に出入りするようになり、その後処女を喪失しました。
しかし、半年が過ぎるも未だ女装をするまでには至っていませんでした。
幸運な事にその場限りの男性と出会い続ける内に、自分にとって最高のパートナーに出会いました。
激しく奥まで挿入されながら、やさしく甘い愛撫。時折与えられる疼くような痛みと激しいヒップへのスパンキング。
そんな、天使のような繊細さと、獣のような激しさにすっかり参ってしまいました。
暗闇の中に、猫科の猛獣のようなしなやかな彼の身体が見えました。
帰りに携帯の番号を渡され、しばらくして連絡をとって彼と会うことにしました。
彼に自分は「女として抱かれたい」という事を素直に告白すると、「いいよ」と許してくれました。
初めて化粧をし、女性の衣服を身に付け、女として抱かれる至福の時間。
心の底から女になって抱かれる毎に、言葉遣いも仕草も変わっていく自分。
女でいることを許され抱かれ続ける内に、彼がとても大切な人になっていきました。
「御主人様ぁッ」
抱かれ続ける内に自然と口からそういう言葉が出ていました。
それは、Master と Slave という特別な愛の形に気付いた瞬間でした。
「お前はスケベでいやらしい牝犬だね」
ご主人様はそう優しく囁きました。
☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓
【佐緒里の回想】
この頃の私は異性に対して心の中にファンタジーめいたものをまだ持っていたように思います。女性が嫌いという訳ではなく、憧れの対象ような部分が勝っていて、どうしても相手が普通に求めるような男性の強さを持てずにいました。私の内面が女性的であったためだと今ではわかるのですが、その当時は何故か懸命に男性的であろうとしたり、無知であるがゆえに相手をも傷つけていたのかもしれません。男だから・・・女だからという性差から少しでも解放されたい。女性と別れてからはそんな思いが大きくなっていったような気がします。